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EVERY LITTLE THING

深夜アニメ、音楽、映画、コミックの感想など

「風立ちぬ」〜 後悔しない生き方

ジブリ作品、どれも有名なので何だか見たような気になってますが、実はちゃんと見たものはありません。テレビでは何本か見たけれど、大抵は何かをしながら見てたし(笑)。そういう意味では初めて映画館でちゃんと見たジブリ作品「風立ちぬ」でしたが、これはもう本当に素晴らしかったと思います。

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この作品で描かれた二郎の姿は、現代企業に勤める中堅エンジニアと何ら変わらない気がします。汽車の中で計算尺を片手に仕事してる姿は、まるで新幹線の中でノートPCを広げて仕事してるビジネスマンそのものだし、ビスの頭の形状で喧喧愕愕となるのもエンジニアの「あるあるネタ」みたいなもんですよね。そんな人たちが、そんなことをやって、新しい製品は世に出てくる。

二郎を見てスゴいなと思うのは、彼に全く迷いがないところです。自分が本当に大切にしたいこと、それが何であるかはっきりとわかっている。しっかりとした志があるんです。こういう人は、傍目から見たら自分勝手で周囲に気が回らない困った人だったりするけれど、それを外から揶揄する人の方が小さな人間に見えてしまうから手に負えない(笑)。

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ヒロインの菜穂子にも迷いはありませんでした。彼女も大切にしたいことがはっきりしていたんですよね。遠くない先に死を意識してる彼女にとって、自分の力でどうにかできるのは自分の内側にあることしかないとわかっています。だから自分の命を大切にしたいことに使い切ろうとする。その一点のために生きる。

二郎と菜穂子が惹かれ合ったのは、お互いの生き方に同じものを感じ取ったからじゃないでしょうか。余計なものは視界から消え、ただ真っ直ぐに自分の信じている生き方を通す。そこに私は二人の覚悟の美しさを見るのです。

映画の最後、二郎が設計した零戦は一機も戻らず、菜穂子も逝ってしまいました。でも二人には悔いはないのでしょう。そういう生き方をしてきたからです。結果ではなく、自分が大切にしたいものに命を注いだという充足感が人生を確固たるものにしているんです。後悔しない生き方ですよね。「生きねば」というのは、そういうことなのかなと思いました。

しかし、こういう内容を扱いつつも、しっかり売れる商品としてこれを出してくるところがジブリの凄いところですね。「風立ちぬ」を観終わって映画館を出るとき、この作品をビートルズのアルバムに例えたら「アビイ・ロード」だなって思ったもんなあ(笑)。

FX