新世界より 25話 感想
人間が呪力というパワーを持ってしまった世界を想像力豊かに壮大なスケールで描いてみせてくれた作品でした。早々に感想を書くのはやめてしまったけれど、終盤にかけて尻上がりに面白くなっていきましたね。
肉塊となったスクィーラに早季が語りかける場面が印象的でした。まるで古い友人と懐かしい思い出話をしているみたいです。彼女にとって、あの時はたしかにスクィーラは同胞だったのかもしれません。
厳しく管理統制しなければ維持できない社会。でも、その社会で誰もが自分らしく生きることができなければ、やっぱりその社会は維持されていかない。「規則より大事なものがあると思うようになっていた。」というのは、そんなことを言ってるんじゃないかなと思いました。
この作品はもちろんフィクションだけど、今の世の中だって、様々な脅威を制御するために先人たちが管理統制の仕組みを作り維持継続されてきたものです。そこには、それこそ人間とバケネズミに例えられるような社会がごろごろしていて、私たちは誰もがその社会の一員なんですよね。
子供たちのはしゃぐ声が聞こえる中、ラストに一枚の掛け軸が映しだされます。その言葉はとてもシンプルで普遍的。そして誰にでもできること。それが未来を変えていく。きっと早季に続く人たちは、子供たちを恐怖の対象から希望へ変えていくでしょう。それは今を生きる私たちもきっと同じですね。
「新世界より」、本当に面白かったです。