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ピンポン THE ANIMATION 7話 感想

小泉が自ら語ったバタフライジョーの話が印象に残りました。スポーツや格闘技なんかでしばしば耳にしますよね。負傷した相手の弱点を攻めずに戦ったというヤツです。勝てば正正堂堂の勝利と周囲から賞讃され、負けても勝手に美談にされることが多いけど、実際に戦った本人の思いは、そういうのとは違うところにあったりするのかも・・・。

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「フォアに深く打って、バックに切り返せば、簡単に沈む相手です。」
「君なら打てたかね?・・旧友の傷に釘を突き立てるような球を・・選手生命を奪う危険なコースにさ・・君なら打てたか?」

バタフライジョーは、結局フォアに打球を集中させて自滅。彼は自責の念を引き受けない代償として世界選手権出場のチャンスを逃し、自らの卓球人生の輝きすら失っていった。逆に対戦相手の旧友は、それを踏み台にして出世し、世界への階段を駆け上がっていって、現在の海王理事長、ポセイドン代表取締役になっている。

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まあ、バタフライジョーが非情な戦いをして勝っていたとしても、ふたりの人生が逆転したかどうかはわかりませんよね。それより風間理事長がバタフライジョーに対して少しでも感謝の気持ちを持ってくれていればちょっとは救われたのかも。だけど、今の理事長の言動を見ているとそれもなさそうな気がします。

むしろ当時の風間理事長は負けることも辞さず、下手をすれば選手生命を失うことも覚悟の上で試合に臨んだように思えます。そういう相手に対して、今にして思えば的外れな気遣いをして負けてしまったわけで、小泉の心の中には後悔の念があるのでしょう。

それなのに小泉、またまた同じ様な的外れな気遣いをして、既の所でスマイルを手放してしまいそうになっちゃう。オババの一喝で事なきを得ましたが染み付いた性根は簡単には変わらないということかなあ。

で、その性根と言えばスマイルだって同じはず。でも今の彼は相手の弱点を執拗に攻める卓球をやってるんですよね。アクマを退部に追いやった自責の念だって引き受けてる。なぜかって、彼は小泉の言ってることを信じようとしてるからです。

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「わかって・・・います・・・」

スマイルは、冷血なロボットを演じて自分の殻を打ち破ろうとしていて、彼の持つ本来の優しさや甘さが外に出ないようにかなり強く感情を抑えつけています。そして、小泉の言う本当にあるのかわからないものを信じて追い求める不安とも戦ってるように思えます。

私は、そんなスマイルを小泉が最後まで受け止めきれないんじゃないかと感じています。だって小泉はスマイルに「君なら打てたか?」と問うことしかできませんでした。小泉ができるのはやっぱりここまでが限界なわけで、然すればスマイルはバタフライジョーを超えることすらできないような気がします。

スマイルが限界を超えるには彼の本質を活かした何かが必要なんだろうなあと思ってみたり。何となく大田の存在が気になるけど、もしかしたら彼がスマイルを支える力になっていくのかもしれないですね。

「ピンポン」本当に面白い。次回も楽しみです。

FX