それでも町は廻っている 四番地 感想
森秋先生って、たしかに堅物なんだけどそれだけじゃない。あの数式に込められた思いは何だったのか。愛すべき森秋先生の姿がまたひとつ垣間見えた気がするのです。
教師と教え子のモラルの前に、恋愛は成立せず。
(男+女)÷ モラル = 0
この数式は単に交際を断るだけではなく、教育者としての恋愛観にもとづいた教え子へのメッセージなんですよね。しかも数学の先生らしいユーモア溢れる、ラブレターへの返事だと思います。
さてこの数式、堅物な森秋先生の姿から考えれば、モラルが無限大に大きいから右辺はゼロになるんだと解釈するのが妥当なように思えます。
ただ、この解釈だと左辺と右辺をイコールで結ぶのはおかしくて、次の数式の方が表現はより正確ですよね。
(男+女)÷ モラル → 0 (モラル→ ∞ )
しかし、森秋先生は数学の教師です。「→」と「=」を曖昧に使用するとは思えないんですよね。つまり、先生が書いた数式はやっぱり「=」なんですよ。
そうすると、(男+女)÷ モラル = 0 は、モラルに関係なく(男+女)=0ということになります。要するにもともとは、単に恋愛は成立せずということだったんじゃないでしょうか。交際は断るつもりだったんでしょうね。
故に、森秋先生はそっけなく(男+女)=0 と書いた返事を出すことだってできたはずなんです。単なる堅物な人間だったらそうしていたかもしれません。
でも、森秋先生は、そこにあえて割り算で「モラル」を付け加えたんですよ。何故か?。こうすれば「モラル」はゼロにならないし、恋愛によらない独立した数値(存在)をとることもできます。ここに深〜い意味があると見ました。
実は、この「モラル」は(男+女)=0 では意味を成しませんが、素晴らしいことに(男+女)がゼロじゃなくなったときにその力を発動するんですよ。
すなわち、教師と教え子に恋愛が生じた時に「モラル」が意味を持つ数式になっているんです。
だから、森秋先生は「教師と教え子のモラルの前に恋愛は成立せず」と頭ごなしに言ってるわけじゃなくて、「教師と教え子に恋愛が生じてもよし。でもその際はモラルから逸脱してはいけない。」と言いたかったんじゃないでしょうか。
まあ、ぱっと見の森秋先生の印象では「教師と教え子のモラルの前に恋愛は成立せず」なんですけどね。でも3話と4話での歩鳥との掛け合いなんかからは、彼女のことをよく見ている先生の姿が垣間見えるし、後者の解釈も案外とありえそうな気がしてきませんか?。私は大いにあると思うなあ。
こんな風に想像すると、森秋先生がますます奥深いキャラに思えてきますよね。何気に阪神ファンの気配も漂ってたし(笑)。
これからも楽しみな森秋先生です。