へうげもの 10話 感想
「へうげもの」本能寺のクライマックスは、まさかの茶席でした。改めて「へうげもの」がどんなアニメなのかわかった気がします。でもこれが物凄い。一刀両断にされてなお「まあ座れ、ハゲ。」と茶を振舞おうとする信長。野暮なツッコミ無用の雰囲気に圧倒されますが、信長の台詞がさらに上を行きます。ここはもうアニメを観てとしか言いようがありません。
天下人である信長と秀吉の茶席。でもそのやり取りは、父・信長、子・秀吉の姿だったように思います。4話だったか秀吉と宗易の茶席で、秀吉は宗易を父親のように感じると言っていましたが、信長は秀吉が父親を欲していることに何となく気づいていたのかもしれません。
信長は秀吉に言います。あまたの人間との一方的な関係と違って、お前との関係は愛なのだ。自分の倅たちを可愛がる気持ちが抑えられないのは血のつながり。自らの血で立てた茶を差し出したのは、お前も倅と同じだという最大限の愛情表現だったように思います。
一方の秀吉は戦きつつも信長の意をくみ取りました。だからこそ、信長が崩れ落ちた後に茶を飲み干します。信長は死んだ。嫌なら飲まなくてもいいんです。ただ秀吉は父親の愛情とやらを試してみたかったんでしょう。しかし悲しい哉、彼は泣けなかった。心の中に大きな穴が空いただけ。それぐらい彼の心の闇は暗く深い。それ故に彼は宗易に惹かれるものを感じているのかもしれません。
今回のサブタイトルは「哀しみの天主」。元ネタは The Rolling Stones「Angie(悲しみのアンジー)」もしくは Pet Shop Boys「It's a Sin(哀しみの天使)」でしょうか。前者は恋人との悲しい別れって感じの歌なのでちょっと違うかも。後者は楽曲がドラマチックなので本能寺の混乱に合った感じですね。
次回も本当に楽しみです。