うさぎドロップ 9話 感想
ラストシーンが秀逸でした。コウキのお母さんの描写は素晴らしかったなあ。玄関からタクシーに乗り込むまでの間、彼女はもしかしたら離婚した夫のことを思い出していたのかもしれません。
彼女は玄関を出て雨をちょっと見上げた後、フッとため息を一つつき、コウキの手を握って表情が切り替わります。彼女はすぐそこのタクシーまで小走りで行くつもりだったんでしょう。そこへ大吉が傘をさしてくれます。ちょっと驚いて大吉の方を見るんですが、大吉の顔は見えません。
そのとき、彼女はそれが誰かに似ていると思ったのでしょう。そしてその優しくて懐かしいそんな感じを大事にしたいと思ったに違いありません。だから、一言もしゃべらずタクシーに向かって歩き出した。ずっと前を向いたままです。
タクシーに乗り込んだ彼女は、ようやく傘をさしてくれた男の顔に目を向けます。でもそこに立っていたのは誰かではなく大吉なんです。彼女はただ黙って伏し目がちに頭を下げ、タクシーは動き出す。
彼女がなぜ離婚したのかはわかりません。でも、それまではこの台風の夜のような幸せな家庭だったんでしょう。それを思い出せたのと同時に、今はコウキと二人暮らしであることを改めて実感させられた。そんな彼女の複雑な胸中が伝わってきます。本当にグッときます。
最後は走り去るタクシーにりんちゃんが手を大きく振ります。そして屈託のない大あくびとりんちゃんの顔でエンディング。そうだ、子供のこの顔があるから頑張れるんですよね。だからきっとコウキのお母さんも大丈夫。ちゃんと彼女にエールを送ることを忘れないラストも素晴らしい。
次回も本当に楽しみです。