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へうげもの 28−29話 感想

宗二は何のために投降したのか。生き延びるためではなかったのか。秀吉は自らの立場上できるところまでチャンスを与えていたと思います。でも彼は己を曲げることができず、結局は耳と鼻を削がれて斬首。いかにも彼らしい最期でした。

宗二は、利休の後ろ盾もあり、すぐに許されるものと簡単に考えていたのかもしれません。まさか三成が茶の湯秘伝書を引っぱり出してくるとは思っておらず、準備不足でした。利休にしても、以前に古渓の赦免嘆願がうまくいったことが頭にあり、油断があったんじゃないでしょうか。

何か考えさせられる宗二の死です。人は何かを克服したり新たな心境を得たりした時に、自分自身や周囲が全てにおいて変わったと錯覚することがあると思います。でも過去の自分があって今の自分があるんですよね。過去の自分を置いてきぼりにして、今の自分だけ前に進むなんてできない。

自分は変わったと思っていても、過去の自分と比べたら変わっていない部分の方が圧倒的に多いんですよ。宗二が武人との一座建立を体感して己の小ささを悟り、清らかな川の流れのような心境を得ていたとしても、それで過去の自分が洗い流されたわけではありません。

宗二は錯覚していたんじゃないかなあ。今の新しい自分だけが自分なのだと。でも実際には真後ろに過去の自分がついてきている。きっと蔑ろにされた過去の自分に恨まれたんだと思います。それ故に秀吉の前で己を曲げることができず、三成に足をすくわれることになった。そんな気がしてなりません。

なんか暗い感想になっちゃたな(笑)。

次回も楽しみです。

FX