EVERY LITTLE THING

深夜アニメ、音楽、映画、コミックの感想など

輪るピングドラム 18−22話 感想

ラストの夏芽真砂子の姿と語りは圧巻でした。彼女はこのアニメの作り手側にとって理想の女性像のひとりなんじゃないかな。そんな気がします。彼女は美しく、賢く、行動的です。一方で女性らしい脆さも持ち合わせているし、ちょっと抜けた可愛らしさもある。そして何よりも意志の強さと潔さがすばらしい。きれいだと思います。

この世界には光と影があり、自分がどちらの側にいて、どう生きるべきか。そのことに目を背けずに真正面から戦い続けていたのが真砂子だったといえるでしょう。この世の中、呪いや恨みはそこら中を漂っています。誰かがそれを払いのけてくれているから、安心して暮らせているのも事実です。それに気づいていないふりをしながら安穏と生きるのを潔しとしない彼女の姿に、このアニメが伝えたいことのひとつが託されていると感じます。

このアニメに出てきた家族は、いずれも崩壊していました。これって何かに守られて繁栄してきた世の中が変わってきて、そうではなくなったということの象徴のような気がします。

もう庇護してくれる世の中ではなくなったんです。それをどう受け止めていくのか。多蕗やゆりのように桃果を失ったことを恨み続けて生きるのか。苹果のように現実逃避して家族再生を夢見るのか。高倉家の三人みたいに何事もなかったように現実から目を背けて生きるのか。

20世紀の繁栄は崩壊し、呪いとなって押し寄せようとしている。「あなたはそれをどう受け止め、どう生きるの?」と問われている気がしてなりません。真砂子はひとつの答えを示しました。冠葉の行動もそうかもしれません。では、ようやく現実と向き合いはじめた晶馬と陽毬はどんな答えを出すのでしょうか。

次回も本当に楽しみですね。

FX