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未来日記 26話 感想

面白かったなあ。由乃とユッキーにどんな結末が待っているのか。このアニメは見る者にそんなワクワク感を抱かせたまま最後まで走り切ったという点で素晴らしかったですよね。そして全てはこの最終話のためにあったのではないかという巧妙さを感じます。ラストもずいぶん昔に読んだ「罪と罰」のエピローグを予感させるような終わり方で、私は好きだなあ。

<このアニメはとても巧妙な作りになっていた?・・・と思う>

由乃はずっと「私を助けて!」と叫び続けてきた女の子でした。彼女には大きな心の隙間があって、それをなかなか埋めることができない。そんな隙間の形にぴったりと嵌ったのがユッキーだったんですよね。だから最初は隙間をぴったりと埋めてくれるユッキーというピースがあれば良かったんでしょう。

でも人は過去を積み上げて成長していくもの。3巡目の由乃のお父さんの言葉が印象的でしたね。そうだよ、1巡目の由乃は背が高くなってる。きっと心の隙間の形だって変わっていったはずです。だからユッキーというピースは外れなくなっちゃったんでしょうね。それを無理やり引っ剥がしたら、やっぱり痛い。

それはユッキーにとっても同じこと。幻想空間に閉じ込められたユッキーには、まるで引っ剥がされたピースに由乃の切れ端がくっ付いてるみたいに由乃に対する記憶の欠片が残ってたんだろうと思います。そしてユッキーには何より罪を償おうとする気持ちがありました。少なくとも由乃だけでも救いたい。今までになかった強い前向きな気持ちです。

同じ頃、3巡目の由乃が両親に抱きかかえられているのを目の前にして、由乃は自分の不幸を嘆き、ユッキーへの想いを叫びます。それは記憶の欠片を通してユッキーに伝わり、ユッキーの叫びとシンクロしたのかもしれませんね。ユッキーは幻想空間を破壊して由乃を抱きしめます。

ユッキーは由乃を救いました。ふたりのキスは偽りでも同情でもない、心の通い合った本当の最初で最後のキスであったように思います。これまでも何回かユッキーは由乃を救い、キスだって重ねてきました。けれども、どこかしら違和感があったり、チープさが漂っていたりしたんですよね。それって、このシーンのために敢えてそういう作りにしていたんじゃないかなあ。そう思えるくらい最終話のここまでは圧巻でした。

<ラストで思い浮かんだのは「罪と罰」のエピローグ>

ラストは「由乃が会いに来た。」で締めくくられました。これを見てどう感じるかは、きっとそれぞれなんでしょうね。またサバイバルゲームが始まるのか、それとも違った未来が開けるのか。私は漠然とこう思いました。ユッキーが一万年という刑期を満了し、生まれ変わってまた由乃と新しい世界を生きるのかなと。

そう「罪と罰」のエピローグを思い出したんです。もう何十年も前に読んだ本です。なぜ思い浮かんだのかはわかりません。でも何となくユッキーがラスコーリニコフみたいに見えたんだなあ。きっとこの後は、ユッキーと由乃がともに丸太に腰掛けて大平原を見渡していて、彼の魂は復活の喜びにあふれているんじゃないかって思うのです。そんな余韻を残してくれたラスト、私は好きです。

<「NEXT PROJECT 始動!」の波紋?>

ところが最終話を見終わって感想ブログを巡ってみたら、意外にラストの評判が芳しくないようです。これってもしかしたら、テレビ版とニコニコ版での「NEXT PROJECT 始動!」の映し出され方の違いが大きく影響しているのかなとも思いました。

私はテレビで最終話を見たんですが、ラストは「由乃が会いに来た。」で終わります。その後にCMが長々と入り「NEXT PROJECT 始動!」って字幕がポンっと映し出されます。アニメのラストシーンと「NEXT PROJECT 始動!」の字幕は完全に切り離されて別物でした。

ところがニコニコ版を確認してみると、ラストの「由乃が会いに来た。」の後にすぐに「NEXT PROJECT 始動!」の字幕が入っていて、これがアニメのラストシーンのようになっていました。たしかにこれだと違和感がありますね。またサバイバルゲームが始まる感じがします。これで最終話の印象が大きく変わってしまったとしたら、ちょっと残念です。


というわけで「未来日記」終わりです。なんだかんだで今期いちばん楽しみに見ていたかもしれません。とにかく次が気になる作りになっていて、演出面は素晴らしいものがありましたね。雑に思えた作りも案外と作り手の巧みさの表れなのかもと疑いたくなるっていうのがスゴい。いやー面白かったです。

FX