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深夜アニメ、音楽、映画、コミックの感想など

話数単位で選ぶ、2018年TVアニメ10選

今年の10選は以下のとおりです。

Wake Up, Girls! 新章』第13話「明るい方へ」
『SSSS.GRIDMAN』第9話「夢・想」
宇宙よりも遠い場所』第11話「ドラム缶でぶっ飛ばせ!」
ゾンビランドサガ』第8話「GOGO ネバーランド SAGA」
『DOUBLE DECKER! ダグ&キリル』第8話「踊る!学園捜査線!」
はたらく細胞』第7話「がん細胞」
はるかなレシーブ』第11話「ここまできたら真っ向勝負」
ヒナまつり』第1話「超能力少女現る!」
やがて君になる』第12話「気が付けば息も出来ない」
ルパン三世 PART5』第24話「ルパン三世は永遠に」

番外編
DEVILMAN crybaby』第9話「地獄へ墜ちろ、人間ども」

ルール
・2018年1月1日〜12月31日に放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品から選べるのは1話のみ。
・順位はつけない。

 

<各話コメント>

Wake Up, Girls! 新章
 第13話 「明るい方へ」

監督/板垣伸 脚本/松田恵里子 絵コンテ/板垣伸 演出/田辺慎吾 作画監督/菅原美幸、吉田智裕、内田利明

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この最終話のライブシーンは本当に凄かった。これまでの12話は何だったのかと思えるくらい、もう全く別次元の出来映えです。限られたリソースのほとんどすべてをこのライブシーンに注ぎ込んでいたとしか思えません(笑)。

特に歌とダンス(モーションキャプチャ)を改めてとり直したというWUGちゃんのキラーチューン・メドレーは圧巻。まるで本物のライブを体験しているかのような臨場感に胸が高鳴ります。そして最後は新曲「Polaris」の大合唱でしっかりと話を締めくくり、まさにWUG最高〜!となる渾身の一本でした。

 

『SSSS.GRIDMAN』
 第9話「夢・想」

監督/雨宮哲 脚本/長谷川圭一 絵コンテ/五十嵐海 演出/金子祥之 作画監督/五十嵐海、坂本勝

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冒頭から漂い続ける奇妙な雰囲気。夢の中でさえも思い通りにならないアカネは途方を失い、裕太も内海も六花も夢から目覚めていく。あの手この手の演出と記号で埋め尽くされた映像と夢が破られる時に響き渡るブラスがとても印象的でした。

最後の方のシーンに出てくるベタッと塗られた夏空。真っ青なのにどこか異質な感じで『けいおん!!』13話の焼きそばスライダーや『フリップフラッパーズ』1話のピュアイリュージョンで描かれた夢や不思議世界の青空を思い出しました。

 

宇宙よりも遠い場所
 第11話「ドラム缶でぶっ飛ばせ!」

監督/いしづかあつこ 脚本/花田十輝 絵コンテ/佐山聖子 演出/大庭秀昭 作画監督/小山知洋

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日向がなんとか折り合いをつけてきた過去。それが再び蒸返されることになって、心中穏やかでないのは本人だけじゃなかった…というか、報瀬が本人以上に怒ってましたよね…(^^)。

9話で「ざまーみろー」と叫んだ報瀬にしてみれば、日向の元チームメイトなど全くもって受け入れ難いはずです。でも日向はそれができないくらい深い心の傷を負っていた。本番10分前、日向が本心吐露、報瀬スイッチオン、結月アクセル、キマリのリカバリーから報瀬フィニッシュの流れは、最高にエキサイティングでした。

 

ゾンビランドサガ』
 第8話「GOGO ネバーランド SAGA」

監督/境宗久 脚本/村越繁 絵コンテ/石田貴史 演出/石田貴史 作画監督桑原剛細田沙織、かどともあき 総作画監督/桑原幹根

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冒頭からラストまで、私の予想の斜め上を駆け抜けていった傑作回。

ウルトラビッグサイズのおじさんは実はリリィのパピィで、リリィは実は正雄で、死因はヒゲで…っていう面白すぎるAパート。一転Bパートでは、まさかの再会に素性を明かせぬリリィがパピィの本心を知り、すれ違ったままの二人の心を元に戻そうと決意、そして歌に託した想いは確かにパピィに届いた…っていう感動展開。

よくこれだけの内容を詰め込めたなあ。入念に仕込まれたネタ、ゾンビ設定を活かしたストーリー、サブタイの回収も含めて、実に見事でした。

 

『DOUBLE DECKER! ダグ&キリル』
 第8話「踊る!学園捜査線!」

監督/古田丈司 脚本/吉田恵里香 絵コンテ/西澤晋 演出/平沼加名 作画監督/山本美佳、小林利充、鎌田均、中野圭哉 

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好きになった男の子はトランスジェンダーだった。ダンスパーティーで周囲から差別を受けた。悲しい結末になった。学園捜査線を通して語られるマックスの過去。

大事なものを失ったり、傷つけられたりしても、それで全てを終わりにする必要なんてない。パンクな外見の内側にしまわれた悲しみと優しさ。彼女の魅力倍増の素晴らしい掘り下げ回でした。キリルのナイスフォローが光るラストも素敵です。

ちなみに余談ですがこの作品、お話の背景に多様化した社会問題を絡ませているところも気に入っています。危険薬物「アンセム」はともかく、汚職、労働環境、貧困、医療、トランスジェンダー…何気にとっかかりは社会派なんですよね。

 

はたらく細胞
 第7話「がん細胞」

監督/鈴木健一 脚本/鈴木健一 絵コンテ/鈴木健一、西田正義 演出/吉川志我津 作画監督斎藤大輔、西村彩、三浦春樹、清水勝祐、楠木智子、福士真由美、吉田隆彦、玉置敬子 アクション作画監督/三室健太、入江俊博 総作画監督/吉田隆彦、玉置敬子

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前話(6話)のモブ細胞のCVが石田さんで、これは何かあるぞと思いますよね。巷でも「石田じゃん、あやしい」「石田は裏切る」とざわついてましたが、案の定、次回予告のサブタイは「がん細胞」(笑)。

この7話では、細胞分裂の手違いで生まれたがん細胞が、ただそれだけの理由で免疫細胞に殺されていく悲哀がギャグテイストに描かれます。この話をがん治療に携わる知人にしたら、彼曰く「面白い話だけど、俺の仕事は揺るがないぜ。」とまるで免疫細胞みたいなコメントが返ってきました。そりゃそうですよね(笑)。

 

はるかなレシーブ
 第11話「ここまできたら真っ向勝負」

監督/窪岡俊之 シリーズ構成・脚本/待田堂子 絵コンテ/池下博紀 演出/池下博紀 作画監督/山田真也、齋藤温子、服部憲知、重松しんいち、壽恵理子、二宮奈那子、吉田巧介、太田彬彦、中西修史、山田英子 総作画監督/小田武士、大沢美奈

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「はるかな」対「エクレア」、一体どちらが勝つんだろう。スポーツ物にありがちな主人公のケガやアクシデントでの盛り上げは無し。試行錯誤、体力の限界、痛恨のミス、現実的でスリリングな展開と緩急メリハリの効いた演出が秀逸でした。

試合中、遥たちが風を利用したドライブを試す場面があります。この時の風の描写も気に入っています。はためく幟、ゆっくりと膨らむネット、ふわりと揺れる髪。ビーチを抜ける風のイメージがリアルに湧き上がってくるのがすごいです。

 

ヒナまつり
 第1話「超能力少女現る!」

監督/及川啓 シリーズ構成・脚本/大知慶一郎 絵コンテ/及川啓 演出/平井義道 作画監督/神本兼利 総作画監督/神本兼利

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何かとわがままな超能力少女のヒナちゃんと何かと世話を焼いてしまうヤクザの新田。このふたりの掛け合いは漫才さながら、私には予想外のやり取りがポンポン飛び交って最高に可笑しかったです。

お話の方は、最終的になんとなくいい話っぽくまとめてくるんですけど、ラストにターミネ◯ターの鉄板パロに下ネタを引っ掛けて、これまたキッチリ笑わせます。今年の深夜アニメで最も1話のインパクトが強かった作品でした(笑)。

 

やがて君になる
 第12話「気が付けば息も出来ない」

監督/加藤誠 シリーズ構成・脚本/花田十輝 画コンテ/中井準 演出/渡部周 作画監督/加藤里香 総作画監督合田浩章、牧野竜一、サトウミチオ、森前和也

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劇中の主人公と燈子のシンクロ度が増して、燈子にとってはもう単なる劇ではなくなってきました。それは侑にとっても同じ。さらにはキスを交わした後で「私のことを好きにならないで」と言われて「わかってますよ」と応じるのは辛すぎます。

私はあの人を変えたい。だから劇の結末を変えよう。自分の思った方にポーンと飛び出して行く侑の姿は眩しくて、ちょっと羨ましい。そして息詰まる閉塞感が打ち破られた感じがものすごく気持ちいい。

それにしても、この作品のお話の組み立てには唸らされます。最初は生徒会劇ってどうなん?って思ってたけど、とんでもない。劇の結末はどうなるのか、侑の想いは届くのか、いやー最終話がものすごく楽しみです。

 

ルパン三世 PART5
 第24話「ルパン三世は永遠に」

監督/矢野雄一郎 シリーズ構成・脚本/大河内一楼 絵コンテ/矢野雄一郎 演出/矢野雄一郎 作画監督/酒向大輔 総作画監督/末永宏一、高須美野子、田口麻美

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ルパン三世 PART5』はシリーズの中でも一二を争う面白さだったと思います。これまでのルパンの魅力をそのままに現代色を強めたお話は斬新だったし、新キャラとして加わったアミちゃんが後半どんどん可愛くなっていきました…(^^)。

この最終話は、ルパンとエンゾ、ルパンと不二子、アミとエンゾ、等々の決着を全てつけ、さらにルパンらしいアクションシーンを織り込み、最後をきちんと銭形に追われるルパンたちで締めた超てんこ盛り回。視聴後感も爽快で本当に素晴らしかったです。

 

番外編『DEVILMAN crybaby
 第9話「地獄へ墜ちろ、人間ども」

監督/湯浅政明 脚本/大河内一楼 絵コンテ/湯浅政明 演出/小島崇史 作画監督/小島崇史 

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もしもTVアニメという縛りがなかったら、10選に加えていたと思うのがこのお話です。Netflixで配信され年明けすぐに観たんですが、本当に衝撃的でした。

どうしようもない不信や恐怖を目の前にした時、人はただ生き残るために人間らしさや善良である事を捨て去ってしまうのか。そこに是非はあるのだろうか。視聴してからおよそ1年経った今の世界の様変わりをみると、この話が絵空事ではないことに気がついてゾッとします。

 

今年も本当にいいお話が多すぎて選考が大変でした。
それでは皆様よいお年をお迎えください。

FX