EVERY LITTLE THING

深夜アニメ、音楽、映画、コミックの感想など

俺の妹がこんなに可愛いわけがない 3話 感想

お父さんと息子の衝突は、なかなか見応えがありました。京介の姿は本当にかっこよかったし、お父さんも親としてのスジをきちんと通してましたもんね。そして、それだけにとどまらない面白さも垣間見えた今回のお話でした。

<興味が尽きない京介の人物像>

京介がとても冷静なのが印象的です。まずは桐乃の気持ちを十分確かめる。次にお母さんを味方につけ、彼なりの作戦を立てる。その上である程度の勝算を持って、お父さんとの対決を挑むんです。そして、戦いは一応シュミレーションどおりに運んでいく。これって、真面目にエロゲー攻略に取り組んだ成果なのかもしれません(笑)。

だけどR-18に対する秘策が、自分を犠牲にして何とかすることだったのは、そうだろうなあという印象です。この辺はもう、思っていたとおり化物語の阿良々木さん、とある魔術の上条さんと基本属性は同じですよね。

ただ京介の場合は、阿良々木さんや上条さんと違って誰でも助けるわけではないのかもしれません。そのくらい妹への思い入れを強く感じます。この思い入れの強さの根源は、やっぱり妹に対するコンプレックスだったり、家族の中での希薄感という「心の問題」じゃないかなあ。

お父さんと真っ正面から挑んで妹の趣味を認めさせたってことは、京介にとってものすごく爽快であり、ものすごく達成感のあることなんですよ。これが俺の生きる道だくらいに思ってしまったんじゃないでしょうか。

ラストの「俺なしでもうまくやってるみたいだし。今度こそ俺の役目もおしまいだ。」という京介の台詞には、満足感と同時にちょっと終わってしまうのが惜しい気持ちが漂っていますものね。

でも、京介の「心の問題」は、妹や家族に依存しすぎては解決にならないと思うのです。逆に自分自身に関心が向かないと解決しない。人のために生きるんじゃなくて自分のために熱く生きることに気づくことなんだと思います。気づけるはずなんです。だって身近にそうやっている桐乃がいるのだから。

まだ話数もあるので、そんなところも描いてくれるといいなと期待してしまいます。まあ、そんなのどうだっていいじゃんとぶっ飛ばしてしまうくらい今回の京介はかっこ良かったから、これで終わりなのかもしれませんけどね(笑)。

<熱いけど妙に冷静な親子の対決>

ところで、京介に負けず劣らずお父さんがまたかっこ良かったです。すごいなと思ったのは、絶対に議論の論点をすり替えるようなことをせず、真正面から息子の話を受け止め、それに応え続けたところです。

いやー、普通あんなに冷静な対応はできませんよ。お父さんは、子供のしつけに対してしっかりとした考えを持っています。まったくブレてません。だからこそ、「桐乃に比べてお前はどうなんだ。」なんていう展開にはならなかったんでしょう。

さすがにRー18に対する京介の態度には、カッとなって息子に一発お見舞いしてましたが、場の収め方としてはこれしかないって感じですからね。

でもこの対決、熱くて見応えがあったんですけど、見終わった後、何かものすごくライトな感じしか残らなかったんですよね。いつもの私だったら、こういう場面の後は、必ず何かしら引きずる気持ちがあるのに・・・・。

こんな感じを抱いてしまうのは、京介とお父さんの冷静さに原因があるような気がします。

<代弁者と代弁者の対決>

たぶん、京介もお父さんもあまりに冷静すぎて人間臭さを感じにくかったからだと思うのです。なんだか台詞もキャラからほとばしっている感じが薄い。これはきっと、二人とも代弁者だったからじゃないでしょうか。

そう、京介はアニメやエロゲーが好きな人たちの代弁者で、お父さんは世間一般でいう良識を持った人たちの代弁者です。多くの人達の代弁を担うわけですから、発言は正確であるべきだし、むしろ感情的であってはならないはず。

一方で、親子の対決はやっぱり感情と感情がぶつかり合い、引きずるような気持ちや痛みといった人間臭いところも必要ですよね。

このあたりを両立させなければいけなくて、このアニメはそれをうまく見せてはいたけれど、私にはちょっと違和感が感じられたということなんだと思います。

<登場人物たちは無味無臭さは、このアニメのテイスト?>

実は登場人物に人間臭さがあまり感じられないというのは、1話を観たときから何となく気になってはいました。もしかしたら、これはアニメの作り手が語りたいことを登場人物に代弁させようとした時に、それがシンプルに視聴者に伝わるよう意図的に行っていることなのかもしれません。

もし登場人物が、人間臭くて感情渦巻く人物だったら、そちらに注意がいってしまって、作り手の語りたいことがうまく伝わらないこともあるかもしれません。だから登場人物が発する情報量を最初からわざと減らしてるんじゃないかなあ。

それをやりすぎると、あまりに一般的な性格で無味無臭なキャラを作ってしまったり、記号的なキャラを作ってしまう恐れはあります。でもこのアニメはキャラデザとかお話の面白さでそれをうまくライトな感じに見せていて、ある意味、それがこのアニメのテイストになっているとも言えそうです。

私はどちらかと言えば、このライトな感じは苦手な方なんです。やっぱり複雑な感情を持った人物とか、人間臭さや体臭を感じるキャラの方が感情移入しやすいですから。ところがこのアニメでは、京介が興味深いのとお話が面白いので、それがあまり気にならないのかもしれません。もちろんこれがこの先、どっちに傾くかはわかりませんけどね(笑)。

最後にまとまりなく変なことを書いてしまったけど、今回のお話は文句なしに面白かったのは本当です。次回も楽しみにしています。

FX