EVERY LITTLE THING

深夜アニメ、音楽、映画、コミックの感想など

『響け!ユーフォニアム』8話 感想

惹かれ合う久美子と麗奈。流されやすい自分を克服したい久美子にとって、麗奈は憧れの人。特別な自分を目指す麗奈にとって、久美子はついに見つけた自分の理解者。そんなふたりが打ち解け合う姿がとても美しく表現されていたと思います。

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こういう関係になれたのには、もちろん紆余曲折あったわけだけど、大きなきっかけになったのはドボルザークでしょうか。4話だったか、久美子が「あ、駄目だ…また後悔するかも…」と思い、勇気を出して「元気出た、ありがとう。」と麗奈に言ったシーンです。麗奈の方は、この一言で確信したんじゃないかなあ。

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このアニメの因果応報は一貫してますよね。久美子を見てるとそう思います。久美子が自分で決めて積極的に動けば、遠回りでも得るものが返ってくる。そして、周囲も久美子が決めたことを尊重してくれる。5話の梓なんか、ホント神対応だったもん。

逆に楽器を決める時みたいに他人任せに逃げ腰に振る舞えば、結局「ユーフォによろしく」となってしまうし、お姉ちゃんから「またユーフォじゃん」と見透かされたようにトドメを刺されちゃう。実にはっきりしてると思うのです。

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自分で決めるということは、何かを選んで何かを諦めることです。そんなことを恋愛模様で描いているのも面白い。秀一に「行って来なよ。」と不本意ながらも自分でそう言い切った時、久美子はそれを痛感したと思います。

この後、どうなるのかと心配しちゃったけど、やっぱり久美子が自分で決めたことに対しては悪いようにはならない。秀一は葉月より久美子を選び、選ばれなかった葉月はそんな秀一の返事を尊重するのです。

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自分がやりたいことを自分で決めてそれに打ち込む。決めるということは、何かを選んで何かを諦めること。そうやって決めたことは尊重されなくちゃいけない。そんなことを部活や恋愛や友達を通じて経験していけるのが青春時代のよいところだなあ。

さて、運命の赤い糸を手繰り寄せた久美子と麗奈は、これからお互いにどう感化されていくんでしょう。久美子にとって大きなターニングポイントといえるエピソードでしたが、きっと何らかの化学反応が起こるはず。

次回も本当に楽しみです。

『響け!ユーフォニアム』7話 感想

面白かったです。特に三年生の、あすか、晴香、香織、葵の描き方には思わず唸ってしまいました。ちょっと決めつけ過ぎな感はあるかもしれないけれど、それぞれ典型的な生き方を体現した人物像になってるんだよなあ。

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あすかは、自分が大切にしているものをハッキリと自覚しているように思えます。何を選んで、何を捨てるか、判断基準がしっかりしてるし、冷静にトレードオフを評価して限られたリソースを効率良く投入できる。きっと最も成功しやすく、後悔しない人生を送るタイプでしょう。

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晴香は、頼まれたら断るのが苦手で不本意でも引き受けちゃう。でも人並みにこなせる能力は持ち合わせているから、時々「なんでこんな目に会うの!」と思いつつ、必死にこなしていく。こういう人って、最後に後悔するかしないかは、周囲の人に感謝されたり、そんな生き方を肯定してもらえるか否かにかかっていますよね。

香織は、あすかのような生き方をしたい。でもそこまではできないと自覚しているから、部の存在が必要だと考えてる。だからこそ部長を引き受けた晴香に感謝しているし、晴香が困っていればフォローに入る。一見していい人だけど、最後の最後には自分を最優先する子のような気がします。

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葵は、吹奏楽部に未練を持っていますよね。葵が「去年あの子達やめるのを止められなかったのに、そんなことできない!」とスジを通して退部したことは、手のひらを返して全国を目指すことにした部にとって、ある意味禊になっているのかもしれません。これは美しい生き様なのか、はたまた自己満足に過ぎないのか。

彼女たちは、そんなことをお互いにわかった上で連帯感を保っている。およそ普通の高校生とは思えないほどの大人びた人物像と人間関係だと思えるのは、私が過ごした学生時代と比較してしまうから。こんなことを意識して日々を過ごしてなかったし(笑)。

新しく最初からスタートしようとした久美子も、結局リセットできずに以前からの問題を抱えたままのようです。最初は弱小校が全国を目指すジャイアントキリング的なお話かと思って観ていたけど、思った以上に厚みのある群像劇がメインな感じですね。

次回も本当に楽しみです。

『血界戦線』6話 感想

このアニメの主役は、ヘルサレムズ・ロットという街なんだろうなあ。

ネジがタンクローリーに轢かれるのも、ザップがチェインに踏んづけられるのも日常の一齣。集団昏倒だって耐性のない連中が騒いでるだけとスティーブンに片付けられちゃう。そんな街で暮らしていくには、それなりの作法があるんでしょう。

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ザップもホワイトもレオ君のことを青臭いと一蹴にしていたけれど、私だってそう思う。人界と異界が分かり合えないのと同じことは、リアルの日常にもゴロゴロしてる。お互い自分の杓子定規を相手に当てはめるなんて烏滸がましい……ですよね。

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このアニメはそんなことを分かりきった上で、敢えてレオ君とネジの触れ合いを描く。微笑ましい二人の姿、目を覆いたくなるような残虐な光景、それがなかったことになっちゃう混沌、お決まりの病院(笑)、そして再会。

決して手放しで喜べるような話ではなかったと思います。でもそれが愛おしく感じられてしまうのは、ヘルサレムズ・ロットという街の懐の深さにあるのでしょうね。異種清濁全てを受け入れる街にとって、今回のお話はやっぱり日常の一齣で、体の一部みたいなものなんだと思うのです。

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雑踏の音響が素晴らしい。相変わらずサブタイトルの見せ方が凝ってます。予告も気になりますね。アカペラのビバルディって……。

次回も本当に楽しみです。

『響け!ユーフォニアム』5話 感想

ゾクゾクする場面がたくさん。特にうわーっと思ったのは、久美子と中学時代の同級生の梓(1話冒頭に出てた子?)との会話。周囲に流されやすい久美子がはっきりと意思表示し、梓がそれを受け止めて爽やかに久美子を送り出したシーンです。

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「スタートしたかったの…」
「知ってる人があまりいない高校へ行って、新しく、最初から…」

中学時代の同級生に会いに行こうと梓に誘われて、久美子は断った後にこう続けました。ちょっとハラハラさせられる台詞ですよね。だって中学時代をリセットしたいということを面と向かって梓に言ってるわけですから。

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「そっか、で、スタートはできた?」

この子はすごいよ。今までと印象が変わった久美子を一瞬で受け止めて、こんな風に応じられる。一方的にしゃべりまくってた子だし、あまり周囲のことを考えないタイプに見えていたから少々意外でした。

「じゃあ、次に会うときはコンクールかな、お互いがんばろう。」

気まずい別れ方にならないように配慮して、梓は久美子を送り出す。走り出した久美子の背中を見送る眼差しが優しくて清々しい。きっと彼女の胸の内にも同じく新しいスタートを切ったという充実感があったのでしょう。お互いがんばろうという言葉にそんな感じを持ちました。

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このアニメは、彼女たちの青春をケレン味に頼ることなく描いてくれそうな気がします。そんな期待が高まる本当に美しいシーンでした。

スーパー高校生なんていらない。お涙頂戴な設定や下世話な愛憎劇もいらない。等身大で素直で真面目な高校生たちが織りなす青春ストーリーが、深夜アニメにひとつくらいあってもいいと思うなあ。

次回も本当に楽しみです。 

『血界戦線』5話 感想

面白かったなあ。軽快なアクション、小粋なセリフ、友情&ラブコメディ、いろいろな要素を塩梅よく織り込んだ極上のエンターテイメント回でした。そして背後で進められている計画はいったい何なのか、今後の展開も気になりますよね。

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アリギュラちゃん、初登場にもかかわらず見事なまでにキャラが立ってました。「生きたまま、刻んで、潰して…」って、やってることは怖いぞ。それを味噌カップの中身を出してケチャップに入れ替えたと図解する説明が笑えます。

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ライブラメンバーによるピタゴラ作戦で吹っ飛ばされたモンスタートラック。クズ鉄を撒き散らしながら崩壊していく描写は美しく、バックに流れる女性ボーカルも何だか優雅な雰囲気を醸し出してる(笑)。

こうして死傷者多数の大惨事をある意味ポーンと突き抜けたユーモラスな描写に昇華しちゃうのがこのアニメのテイストだって思う。お見事!です。

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最後は必ずレオナルドとホワイトで締めるのかな。病院からこっそり連れ出されたホワイトはとっても嬉しそう。こういうシチュエーションを演出したレオナルドに拍手。二人がくっついたところで赤い花が広がるズームバックが洒落てます。

いやー、次回も本当に楽しみですね。

(追記)

ところで今回のお話、『フリクリ』にインスパイアされたところもあるのかなと思ってみたり。車をバクバク食べちゃうモンスターメカとか、それに服が引っかかって振り回される描写とか、そこへ携帯電話がかかってくるとか…。

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アリギュラがブローディ&ハマーを取り返しに行くのは、ハルコがアトムスクをメディカルメカニカから救い出そうとする姿に重なるところもあります。

このアニメは原作があるようなので、原作なのかアニメスタッフなのか、いずれにしても『フリクリ』という作品が大好きなんじゃないかって想像しちゃいますね。

今期アニメ(2015年3月終了作品)の評価をしてみました

2015年3月終了作品のうち、最終話まで見たのは以下の11作品でした。私にしてはかなり多めです。なんだかんだと今期のアニメは面白かったなあ。

アイドルマスター シンデレラガールズ

ストーリー:4
キャラクター性:4
画:4
演出:5
音楽:4
総合的な評価:4
合計:25

きめ細やかな演出が際立っていたと思います。武内Pの存在も良かったですよね。お話としては7話がお気に入りです。武内Pと未央のすれ違いに、凛、卯月が絶妙に絡められたシリアスストーリー、実は身につまされる思いで見てたりして…。

『ALDNOAH.ZERO(アルドノア・ゼロ)』

ストーリー:3
キャラクター性:4
画:4
演出:4
音楽:5
総合的な評価:4
合計:24

スレインの迷走と伊奈帆のチートっぷりに見ていて落胆することもあったけど、それはそれで見所の一つではありました。でもこの作品の一番の魅力は、何と言っても劇伴の素晴らしさとアセイラム姫の可憐さにあったと思うなあ。

『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』

ストーリー:4
キャラクター性:4
画:3
演出:3
音楽:3
総合的な評価:3
合計:20

深夜アニメならではのアンジュとタスクが織りなすお約束のギャグが楽しい。ぶっ飛んでるんだけどある意味骨太さを感じさせるストーリーには大いに惹き付けられたし、アンジュのじゃじゃ馬っぷりも魅力的でした。

冴えない彼女の育てかた

ストーリー:3
キャラクター性:4
画:4
演出:3
音楽:3
総合的な評価:3
合計:20

深夜アニメは、世相に合わせて様々な理想の女の子像を提示してきましたが、加藤さんみたいな女の子って今までいなかったような気がします。人付き合いを面倒臭がるお一人様な男の子が産み出した新たなヒロイン像じゃないかなー? 

『四月は君の嘘』

ストーリー:4
キャラクター性:5
画:4
演出:4
音楽:4
総合的な評価:5
合計:26

多少演出過多な印象はあるものの、演奏シーンの盛り上げ方は圧巻で本当に素晴らしかったです。この作品のタイトルの意味、最後にさらっと明かされるんですが、それなら私も知ってたよと心の中で呟いてました(涙)。

『SHIROBAKO』

ストーリー:5
キャラクター性:4
画:4
演出:5
音楽:4
総合的な評価:5
合計:27

毎週楽しみにしていました。宮森さん達が仕事を通して成長していく姿を見ていたら、どんどん応援したくなっていったんだなあ。そして自分自身と周囲の出来事に対しても真正面から向き合って頑張りたくなる、そんな作品でした。

『純潔のマリア』

ストーリー:4
キャラクター性:4
画:4
演出:4
音楽:4
総合的な評価:4
合計:24

とても難しい問いに対して容易に答えが見つかるはずもなし。ならば、自分を信じて自分らしく生きよ、自らの如く隣人を愛し受け入れよってなるよね。最後を庶民的、牧歌的に後味良くまとめてくれたのが好印象でした。 

『デス・パレード』

ストーリー:4
キャラクター性:4
画:4
演出:3
音楽:3
総合的な評価:4
合計:22

どんな境遇でどんな人生を歩んでこようとも、最期には生きてきてよかったと言ってほしい。そうすることができない者にとっては羨望の的なのだから。面白い視点で描かれた人生賛歌だったと思います。 

『東京喰種√A』

ストーリー:3
キャラクター性:3
画:4
演出:4
音楽:3
総合的な評価:3
合計:20

覚悟を決めた人たちがその時までを淡々と生きてるといった感じの雰囲気がすごく気に入っています。クライマックスの戦闘シーンにもうひと工夫凝らしてあったらなあ。 

ユリ熊嵐

ストーリー:3
キャラクター性:3
画:3
演出:4
音楽:3
総合的な評価:3
合計:19

1話から最終話まで幾原ワールド全開でした。私には難解すぎて、ちょっと退屈なところもありましたが、相変わらずな詩情溢れる雰囲気は好きでしたね。

『ローリング☆ガールズ』

ストーリー:3
キャラクター性:3
画:4
演出:5
音楽:5
総合的な評価:5
合計:25

初っ端からザ・ブルーハーツでガツンとやるのは反則じゃん(笑)。何か新しいことをやろうっていう息吹が感じられる作品で大好きでした。愛知・三重編と京都編は、まさに「謎の感動」を呼び起こす傑出した出来だったと思います。

<各賞について>

ベストキャラクター賞:宮森あおい(SHIROBAKO)
ベストOP賞:「人にやさしく」(ローリング☆ガールズ)
ベストED賞:「オレンジ」(四月は君の嘘)
ベスト声優賞・男性:武内駿輔(プロデューサー:アイドルマスター シンデレラガールズ
ベスト声優賞・女性:金元寿子(マリア:純潔のマリア)

FX