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深夜アニメ、音楽、映画、コミックの感想など

話数単位で選ぶ、2023年TVアニメ10選

今年の10選は以下のとおりです。

●『お兄ちゃんはおしまい!』第2話「まひろと女の子の日」
●『カノジョも彼女』第19話「カノジョたちとの夜」
●『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第24話「目一杯の祝福を君に May All Blessings Find Their Way To You, I'm Wishing It」
●『吸血鬼すぐ死ぬ2』第8話「オオ・ゼンラ/半田ンダダンダンダンダダーン/新横浜に月はまた昇るか?」
●『トモちゃんは女の子!』第9話「天使の素顔」
●『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第10話「ずっと迷子」
●『僕の心のヤバイやつ』第7話「僕らは入れ替わってる」
●『もういっぽん!』第10話「勝つ以外ある?」
●『REVENGER』第5話「Love Never Dies」
●『私の百合はお仕事です!』第6話「嘘は必要ないのですか?」

ルール
・2023年1月1日〜12月31日に放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品から選べるのは1話のみ。
・順位はつけない。

 

<各話のコメント>

『お兄ちゃんはおしまい!』
 第2話 「まひろと女の子の日」

脚本/横手美智子 絵コンテ/伊礼えり 演出/伊礼えり 作画監督/山﨑匠馬

 

妹のみはりが開発した薬で突然女の子にされてしまった引きこもりお兄ちゃんのまひろ。必然的に女の子ならではの日常やイベントを体験していくわけですが、この2話では銭湯の女湯に入ったり、女の子の洗髪の仕方を教わったり、さらにはサブタイどおり生理を体験してしまうというかなりの踏み込みようで、何やら後ろめたさを感じつつも刺激的でした。

映像的にも目を引くところが多くて、みはりが暖簾をくぐるシーンやまひろが男湯に入るか女湯に入るか混乱してるシーンなんかはカメラワークがなかなか凝っていてお気に入り。そして何よりも兄妹で女の子イベントをこなすごとに二人の間で少しずつ失われていた何かが戻ってきているように感じられるのがいいんですよね。

3話以降もお兄ちゃん改造計画の真意がより明らかになってきて兄妹の関係が徐々に変わっていく様子が丁寧に描かれていきます。それと中学生女子にエロ本を片付けさせるみたいな刺さる人には刺さるシチュエーションなんかも最高でとても楽しめた作品でした!

 

『カノジョも彼女』
 第19話「カノジョたちとの夜」

脚本/大知慶一郎 絵コンテ/鈴木孝聡 演出/奥村よしあき 作画監督/パク・ソンファ、ペク・ヨンジュ、キム・ジョンウ、チョ・ウンギョン 総作画監督/萩原しょう子、渡辺まゆみ、百々真広、重松遥、朝山公晴

二股容認のネオラブコメ2期。ミリカと紫乃の直也へのアプローチに焦点が当てられて見やすかったです。異なるタイプの両者が交錯して織りなすドラマは見応えがあって、特に紫乃の忍ぶ恋がとても切ない。(ラッキースケベをこなしつつもww)どんどん深みにはまっていき、一線を超えてしまう彼女の姿はまるで文芸作品のヒロインみたい。

でもこの作品の持ち味はやっぱりアホ全開の勢いにあるんだよなあ。そういう点でこの19話はすごく気に入ってます。沖縄旅行の夜、紫乃、ミリカ、渚、サキサキの順に一人ずつ交代で直也と一緒に寝ることになるんだけど、四人ともそれぞれカノジョらしさ全開のコントを繰り広げててめっちゃ楽しい。

特にトリを務めたサキサキはさすが正ヒロインの貫禄。令和の時代に公園に落ちてたエロ本だよ!貧乳パラダイス365だよ!私だと思っていっぱい使ってだよ!そしてブラウスのボタンをひとつ外してしおらしく写真を撮られたサキサキに対して、雑なコラ画像でサイテーなオチをつけた直也にあやねるパンチ、爆笑でした!!

 

機動戦士ガンダム 水星の魔女
 第24話「目一杯の祝福を君に May All Blessings Find Their Way To You, I'm Wishing It

脚本/大河内一楼 絵コンテ/京田知己伊藤慎之助、小林寛 演出/安藤良、綿田慎也、伊藤慎之助、池野昭二、齋藤昭裕、中西基樹 キャラクター作画監督/戸井田珠里、平山円、堀井久美、吉田雄一、小谷杏子、髙久美弥、西島加奈、長尾浩生、佐々木貴宏、大野勉、中村佑美子、中本尚 メカニック作画監督/鈴木勘太、久壽米木信弥、前田清明、倉本和希、平岡雅樹、松田寛

初めてのガンダムが『水星の魔女』な私にとって、1期はしんどい終わり方だったし、2期が始まってすぐにソフィは退場するし、これから本当のガンダムが始まるとかツイートしている人も結構いて、毎週ドキドキしながら観ていました。そして23話が終わった後に出た次回予告のタイトルが「最終回」??いったいどんな結末を迎えるんだろう…

翌週、24話が始まる。いきなりスレッタが気絶、ミオリネが拘束されたけど、何だかハッピーエンドになる予感がしてくる。それは4号登場で確信に変わる。そこから先は見たいものを只々見せてくれる。細かいことはよくわからないけど、何が起きているのかはわかる。結構な号泣のまま後日談に突入。最終話のエンディング曲は「祝福」。

そしてサブタイが明らかに。「目一杯の祝福を君に」。出されてみるとこれしかないっていうのを出してくるのって凄いことだよね。エンドカードまでが最高。いやーこういう作品をリアルタイムで体験できたのは貴重で嬉しい。あと関係ないけど、わかる人だけお楽しみくださいってテロップが出る鬼奴のモノマネ芸を爆笑できるようになったのも嬉しい!

 

『吸血鬼すぐ死ぬ2』
 第8話「オオ・ゼンラ/半田ンダダンダンダンダダーン/新横浜に月はまた昇るか?」

脚本/鷹目利 絵コンテ/坂田純一 演出/佐々木純人 作画監督/宮前真一、柳昇希、金慶鎬、宮島彩 総作画監督/中野繭子

「半田ンダダンダンダンダダーン」面白かったです。Y談おじさん、すごいよね。一枚上手を漂わす感じとか、今回は私の負けだと引き際を弁えているような老獪さ。愉快犯としては一番厄介なヤツじゃないかしら。半田親子が催眠の魔の手に落ちるのか、実は途中までハラハラしながら見てました。ギャグアニメなのに〜!!

 

『トモちゃんは女の子!』
 第9話「天使の素顔」

脚本/清水恵 絵コンテ/平田豊 演出/五十川久史 作画監督/杉田葉子、岡田由紀子、大庭小枝、諸葛子敬、前原薫、神谷美也子、福島陽子、髙橋沙也香 総作画監督/神谷美也子

 

みすずのトモに対する気持ち、キャロルの御崎先輩に対する気持ち、それをお互いに感じ取りながら、何となくお互いを居場所にして仲良くしている二人。不安定で思い通りにならない状況が続くモヤモヤ感と苛立ちは、小さな誤解がきっかけで抑えきれなくなって噴き出してしまう。ここまでにちょいちょいと小出しにしてた前振りを最大限に生かしたこの8話でした。

もうどこを叩けば痛がるのかお互いにわかっているだけに、キャロルが恐ろしい娘でハラハラさせられたし、急所を撃ち抜くみすず砲の破壊力も凄まじかったです。素顔を隠す強固な扉を爆破して御崎先輩を突入させる作戦は何とか成功。扉に鍵を掛けさせちゃったのはママさんだったのね。振り幅の大きいジェットコースター展開。切れ味のいいお話で面白かったです!

 

 BanG Dream! It's MyGO!!!!!』
 第10話「ずっと迷子」

シナリオ/後藤みどり 絵コンテ/梅津朋美 演出/梅津朋美 CGディレクター/大森大地、遠藤求 作画監督/茶之原拓也、依田祐輔

 

そよりんの「なんで『春日影』やったの!?」は私が選ぶ今年の流行語大賞だったし、祥子が見ている前でMyGO!!!!!が『春日影』を演奏したシチュエーションもめちゃくちゃエモかったので、7話にしようかと思ったりもしたけど、やっぱりこの10話を選びました。

燈がソロでステージに立ち、楽奈ちゃんが吸い寄せられてタッキーも引っぱってくる。そして最後には愛音、そよりんもステージに上がって一緒に演奏する流れは激アツだったもんね。あと、愛音とバチバチにやり合って「私が終わらせてあげる」と息巻いていたのに、虚弱な燈に引き摺られ、愛音にすんなり引っ張り上げられちゃう、そよりん可愛い。

最悪とも言える形で崩壊したのに、嫌いなところがあるしイライラさせられることばっかりのメンバーなのに、不思議な求心力が働いてバンドが居場所になっていく。ギスギス展開が続いて見てられない気分にさせられたこともあったけど、そういうこれまでのバンドアニメにないところがすごく新鮮でエポックメーキングな作品の一つだったと思います。

 

『僕の心のヤバイやつ』
 第7話「僕らは入れ替わってる」

脚本/花田十輝 絵コンテ/吉川博明 演出/久保太郎 作画監督/大藤佐恵子、大沢美奈、野口孝行、藤部生馬、茂木琢次、真島ジロウ、前田園香、岡田絵里香、降籏秀吉、白絲みく、studio cat、スタジオマスケット

 

山田がなんだかんだと市川に触れたがるのが笑えます。手を引っぱってもらってそのまま体当たりは可愛いけど、ジャージ間違いには早くから気づいてたんじゃないかなあ。身長の計りっこでは測定バーが固いとか言って市川の肩に手を置き、頭なでなでのやりたい放題。たまらず前屈みになった市川が「ちゃんと立てば、もっとあるから…」www

「山田しか見えない」「もう言えない」とかめっちゃエモかったですが、この7話以降、山田の行動の意図がわかりやすくなって、エモさの性質が変わっていった気がします。よくわからない山田の変曲点。そういえば、狭い部屋の中で「マジキモい」の練習もしないで太ももの間に市川を立たせてたの、一体何だったんだろう?!

 

『もういっぽん!
 第10話「勝つ以外ある?」

脚本/皐月彩 絵コンテ/工藤鉱軌 演出/内藤大介 作画監督/齊藤里枝、那花優統、武川愛里、大前祐美子、満田一、柴田健児、藤崎賢二、菅原正視、李少雷、高成喆、李炯鎬、グレーン 総作画監督/小宮山楓乃

 

泣いたわ、激アツやん。早苗の激闘が姫野パイセンに燃料投下。「勝つ以外ある?」「気ィ早ェーよ」からのこれまでの全てを注ぎこんだ渾身のいっぽん!後輩たちへの感謝、先生がみんなの合わせ技だって締めるのもグッとくる。全ての描写からパイセンの人物像が滲んでくるのが最高に良かったなあ!

 

『REVENGER』
 第5話「Love Never Dies」

脚本/大樹連司虚淵玄 絵コンテ/松尾晋平 演出/横野光代 作画監督/西岡夕樹、遠藤江美子、玉利和枝、sataりすく、ジャカルタカルカッタ軽田

 

利便事屋「恨噛み小判」システムって、依頼と実行をひとりでプロデュースすることが容易にできちゃうんだよね。そんな裏の手口を躊躇なく使って、鳰は堂庵をシステムに乗せてしまう。幽烟たちにそれを止める由もなく、鳰が堂庵を殺してお仕事完了だけど、最後に何とも言えない虚無感が広がって、そういう意味ですごいお話でした。

幽烟のために堂庵を殺し、惣二のために仕事を作った。でもその結果、一座の連中は仕事を失い、惣二は報酬で高価なカステラを買って文無しのまま。この誰も得してない状況って、今の世相でも結構起きてるわけで、ラストの「それでも私は、鳰に人として生きてほしいと思っています。」という幽烟の台詞、いろいろ考えちゃいますね。

 

『私の百合はお仕事です!』
 第6話「嘘は必要ないのですか?」

脚本/ハヤシナオキ 絵コンテ/佐野隆史 演出/池田重隆 作画監督/郁山想清、水拓磨、酒井KEI、Zearth Sato、磯野智、櫻井祐哉、小堤悠香、苗木陽子 総作画監督/岩崎たいすけ、水上ろんど、徳田拓也、原田峰文

 

4話から続く美月と陽芽ちゃんのギスギス展開。そこに巧妙に再現されたあの頃のシチュエーションが出現、どうする陽芽ちゃん!…っていうところでこの6話ですわ。リーベ女学園という舞台であろうことか始まった私情丸出しの本音ぶちまけ対決。同じことを繰り返そうとする陽芽ちゃんに悲鳴をあげていたら、美月からまさかの大胆告白が炸裂!!

蟠りがとけて、二人が抱き合って大泣きしてるの見たら、当然もらい泣き。ギスギス展開が執拗に続いたもんね。カフェの営業が終わって、二人が並んで座ってるシーンが素敵です。ニッコニコの陽芽ちゃんとチョー面倒くさい美月に爆笑。あと陽芽ちゃんが発した文字にしづらい驚きの気持ちを表す語〜www、いやー最高でした!

 

今年も本当にいいお話が多かったと思います。
それでは皆様よいお年をお迎えください。

FX